予想外だった話

10月19日、「二十日鼠と人間」を観に行きました。経済的理由で断念しようか迷っていて、とりあえず原作を読んだらとても感動したので勢いで申し込んだら当たったという経緯がありました。罪悪感は拭えませんでしたがとても楽しみにしていましたし、その分節約を頑張ったつもりでした。

直前に健ちゃんFRIDAYされちゃったけど、それは全然問題なく。相手の方のことはあの写真でしか知りませんが、まあハタチくらいの若い子じゃなくて良かったなくらいの気持ちです。

で、二十日鼠。

すっごく楽しみにしてたんです。いやいや、まるっきり原作通りとはいかないってちゃんとわかってました。キャラ設定やストーリーそのものがガラリと変わることもある、期待し過ぎちゃダメだって自分に言ってたんですちゃんと。

でもやっぱり期待してた。先に観劇した人のレポが「沢山泣いた」ってあったからもう泣く気まんまんでミニタオル握りしめていった。わっくわっくしながら仕度してグローブ座いったの。


そしたらさー。

まず冒頭のジョージとレニーが口論する場面。精一杯声張り上げて滑舌悪くなって何言ってんのかわかんなかった。開始早々一気にテンション下がりましたわ。今までドラマや映画で激昂して言い争うシーンは幾らでもあった筈だけどこんな声張り上げてんのなかなかないですよ。結果健ちゃん喉傷めて、普段は筆談してたそうじゃないですか。歌手の喉に何してくれてんのこの演出家。素人かと思いました。

で、それからキャンディが登場して。ホワイティなる人物についてコミカルに滔々と喋るんですけど、あのー、一気にステージが現代日本になりました。キャンディでなく山路さんでした。ハイだめー。

あとそれから病気の犬を殺せとカールソンが要求する場面。役に立たないどころか悪臭を放つ病気の犬。ほっといてもそのうち死にそうな犬を殺せと激昂したカールソンは少し気まずそうに肩を落として「その方が犬にとっても幸せ」と付け足すのだけど、そういう考え方も思いきり現代。

もっと徹底的にアメリ季節労働者の荒んだ価値観を醸し出して欲しかった。隠しきれない現代日本の空気、邪魔!この辺で、この演出家ちょっと好きじゃないなあと思い始めてました。

しかしここからまだまだ。


カーリーの妻。彼女とうっかり話などしようものなら嫉妬したカーリーに痛め付けられるから、と男達から距離を置かれてます。でも本人は関係なく話し掛けて回るから余計に疎ましがられてる。疫病神扱いです。原作を読んで、可哀想な人だと思ってたんです。本人がいう通り「ここには男しかいないのに」男と喋ればトラブルになる。「じゃああたしは誰と喋ればいいの?」ってそりゃそうだよね、話し相手がいないのは辛い。ただ誰かと話したいだけなのに常に浮気を疑う暴力的な夫。精神的DVですよこれ。…と思ってたら。

スカート捲って足見せてましたわ。そりゃカーリーも苛々するわって話になってました。

ふっざけんな演出家!って思いました。名前すら呼ばれないこの人が余計に可哀想になりました。

そしてこの人が不慮の死を遂げた時のこと。ラストの悲劇に繋がる大事なところです。

ホイットは和ませ担当というかおちゃらけ要員というかそういうキャラ設定になっていましたが、その
瞬間でさえおちゃらけるのです。やってきたカーリーにその死体が見つからないよう全身を使って視界を遮ろうとする、そのしぐさ。

その場面でおどける必要は、ない!ほんとに、お願いだから!演出家考えて!


グローブ座を出て電車に揺られながら考えていたのはもうはっきりと「お金、無駄遣いしたな」でした。「あのチケット代で代わりに何買えたかな」でした。とりあえずもうあの演出家のものは二度と見に行かない。


で、表題の予想外のことというのはここからのことです。

当日は「あの演出家の作品」は二度と見ないと思ったのですが、考えているうちに「もう舞台そのものを見に行かない」になり、「現場自体手を引こうかな」と思うようになりました。来年あるかどうかのV6コンサートも「…どうしよっかなー」と思い始めています。TOP HATのレポを読めば「楽しそう、こっち見たかったな」と思う反面「あの二十日鼠で泣く人達の感想だしな」と冷やかに思いもします。更に滝沢歌舞伎のDVDは買ってませんし、V6の新曲ですら今のところまだ予約してません。びっくりするくらい心が静かです。どうなるんでしょうさようならでしょうか。唯一「来る」は見る気満々だったのですが虫が沢山でるらしく、ホラーもスプラッタも平気だけど虫は本気で苦手な私は映画の方からお断りされた気分です。いやまじで卒業でしょうかV6。どうかお元気で。