読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ヒメアノ~ル感想

観ました。

なんかもう見事な位まともな人が出てこなくて可笑しかったです。岡田は長いものに巻かれまくるフワッフワしたやつでとらえどころなく、安藤はモロに変。ユカだって少し変。全体的に地に足がついていない感じで、だから何度殺戮シーンが続いても陰惨な印象はなかったです。普通はさ、イカれた森田(悪)vs. まともな岡田達(正義)って構図になるよね。それが全然違うんだもん、何もかも歪で新しいなと思いました。

タイトルのヒメアノ~ルって蜥蜴だよね。弱肉強食がこの作品のテーマなんでしょうか。

森田剛演ずる森田(ややこしい)はびっくりするほど華奢で、被害者と揉み合ってる時も反撃されかねない危なかしさがあって。足がほっそい。折れそう。勿論森田から襲い、殺しているのに、何故か正当防衛的な必死な匂いがするのが微妙に怖かったです。森田=圧倒的な恐怖、ではない、もっと深い怖さ。

殺さなきゃやられちゃう、というのが森田の行動原理なのかも。先天的な快楽殺人者、という要素は見つけられませんでした。原作と変えたのかもね。

煙草を注意された時の森田のリアクションがさ。例えば「うるせーよジジイ」のような強いものでなく、「(消したので今は)もう吸ってないんで」の一点張りなのがね。

ユカの隣人山中聡が椅子に拘束され顔にテープ貼られてるのに「知らねーって言ってんだろっ」と強気な物言いを止めないのと比べると、森田、気が弱いよね。少し可哀想になるのね。強く抗議したり主張できない性格なのかな。そしてそれが蓄積され、別の状況で殺意として発露するのかな。そもそも一番最初の台詞、「岡田くん?」がもう弱々しくて。

あと岡田と飲んでる時の台詞の一つ。
「幸せになれる努力の出来るやつが~」
俺もおまえも人生終わってる、と言った後のこの台詞。自分の今の有り様が、運命のせいではなく努力できないから、と思っているのかな。真面目。



見ていて少し疑問だったのは、あんなにあっさり人を殺す森田が、なぜユカには少し距離をとっていたのか。イタ電したり郵便物漁ったりストーカーなんて、なぜすぐ家に押し入ろうって思わなかったのか。

でも登場した被害者達は、見ていてヒヤッとしたんだけど自分から森田に関わっていってたもんね。
よそのドアがんがん蹴ってるやつに威圧的に注意しにいくなんて危機感無さすぎだし、看板かなんか殴ってるやつを見て「なんか危ない人いるんだけど」なんて、目を付けて下さいと言っているようなもの。ましてや安藤なんて自分から延々話し掛け、後を追いかけて。

そりゃまあ皆、自分がこの後殺される(撃たれる)なんて想像もしないけれど。想像もしない恐怖がすぐそこにある、という現実。油断大敵。君子危うきに近寄らずだよ。こわっ。

ユカは森田に対して一切リアクションしなかったことで、ある意味非現実的な存在として見ていられたのかもしれない。まあ岡田を介在することで状況は変わったのだけど。


思ったほど陰惨でなく、思ったほど怖くなく、そして思ったほど切なくもなく。ただ面白かったです。


あと余計な感想といえば、濱田岳は小学生から知ってるので彼のベッドシーンは微妙に恥ずかしかった。あと一瞬だけ映る森田のお尻可愛い。それからやっぱり役名の「森田」「岡田」な。森田剛が「森田君」と呼ばれているのはムズムズしました。森田剛≠森田正一なのは勿論わかってる。でもやっぱりやっぱり紛らわしかったね。