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2000年春のこと

この話にどこまで触れていいのかわからないので恐る恐る書いてみる。なぜ今これに触れるのかというと、V6が好きなら6人全員曇りなく好きになりたいと思っていたからだ。つい先日までは。



あの事件の話です。



彼のことは昔から嫌いだったし、事件の一報を聞いた時はいかにもやりそうだと思った。間違いなく彼は処分を受けて芸能界から去るだろう。V6も解散するかもしれない。まあ、一蓮托生がグループってもんです。仕方ない。


結論から言うと、V6は解散しなかったし、本人も脱退しなかった。勿論裏では色々大変だったと思うけれど、表面上今までと態度を変えず彼を受け入れてある意味「罪を共有」した5人の決断は、私には受け入れ難いものだった。

昔の私はAll or Nothing、良いか悪いか、好きか嫌いか、とにかく極端な性格だった。悪いものは悪い。悪を庇うならV6もまた悪である。

だが15年経ち、当時の彼らより遥かに年上になった今なら彼ら5人の苦悩もわかる。V6を解散した場合の人生のヴィジョンが彼ら5人に見えたかと言うと、多分見えなかっただろう。ソロでやっていけるのか、俳優一本でいくのか、そもそもジャニーズに残るのか。他事務所に移る、芸能界を去る、色々な選択肢を唐突に突きつけられ、早急に答えを求められて、彼らはどれだけ困惑したか。特にリーダー坂本くんは自分だけでなく残りの4人の身の振り方も心配しただろう。自身の管理不行届きを責めただろう。解散しよう後は知らん好きにしろ、とは、リーダーとして言えなかったと思う。

最年少岡田准一はまだ若いので、本来の人生設計通り「大学にいって教師になる」という道があった。一介の浪人生として受験勉強を始めればいい。だが三十路を迎える坂本長野は。高校中退組は。そんな中に、「今まで通りV6としてやっていっても構わない」という事務所の判断が提示されれば、そりゃ皆それにすがるだろう。グループとして失速するのは仕方ない、停滞は間違いない。それでも一か八かやれるところまでやっていこう。と。

そう、口ではなんだかんだいいながら、私だってその場にいれば多分それを選択しただろう。「保身に走った」と当時の私は眉をひそめたが、それの何が悪い。正義感とか高潔さとか、それだけでは腹は膨れないのだ。

人々の咎める視線や好奇の目にさらされながらのアイドル業は辛かったろう。


当の本人の心中は知らない。


それでも何もなかったようにV6は活動を続けて今や20周年。

昔も今も、当の本人には熱狂的なファンがいる。しかしながら、未だに彼を許さない人も多い。事務所がV6に力を入れてくれないという意見があって、それは全て彼のせいであるという怒り。一方熱狂的ファンの間では、今ではあの事件は先方の狂言で、彼は罠に嵌められたのだというのが半ば公式見解のようになっているようだ。

最近の熱愛相手がアレなのも相まって、「今からでも脱退しろ」という声は消えない。熱狂的な彼のファンvs他のファンという根強い対立があるらしく、特に2ちゃんねるでは醜い罵りあいが繰り返されていて読むに耐えない。こんないさかいを15年続けてきたのだろうか。

他Gのことは詳しくないが、女性問題や傷害やなんやで警察沙汰を起こしたメンバーのいるグループは幾つかある。そこもこんなファン同士のいさかいがあるのだろうか。あるのだとしたら、一つだけ覚悟して欲しい。それは永遠に続くのだ。多分、当人が脱退したとしても、なんならグループが解散してもずっと。


今、私の中で彼は「好きではないけど必要な人」である。

彼の演技は確かに良い。大河も良かった。あの有名な言葉「平家にあらずんば人にあらず」を、平家の驕りの象徴であるこの言葉を、あんなに悲哀に満ちて自虐的に言ってくるとは反則だ。色々期待外れだった「平清盛」で、彼は文句なく素晴らしかった。

でも積極的に彼の舞台を、ドラマを見たいとは思わない。

歌も良い。でもソロ曲を聞きたいかというと、CDでもDVDでもほぼいつもとばしている。

それでも彼は必要な人である。脱退されては困る。彼なしでV6は成立しない。


ぶっちゃけ、ファンが見るV6と、ファンではない世間が見るV6は残念ながら別物だ。世間的にはオワコン状態の、岡田井ノ原以外何してんのと言われがちなV6は、今更AVなんかでイメージダウンもくそもない。彼は好きな女と付き合えばいい。問題は今の恋愛ではない。彼の罪はファン同士の間に綿々と続く争いの種を蒔きっぱなしで放置したことだ。せめて謹慎さえしていれば──いや、本来なら謹慎では済まなかっただろうけど、それでもケジメはつけた禊はすんだ昔の話だと言えたのに。


私もすっきりと彼を受け入れられた筈なのに。


そして今、6人全員好きになるどころか岡田准一をどう受け入れるかで揺れている。グループトップがまさかの最下位転落の危機である。下手すれば、可愛さ余って憎さ百倍V6丸ごとさようならの危機。

せめて森田と同じくらいのポジションで、私の中で落ち着いて欲しい。

『好きではないけど必要な人』

森田に対するわだかまりをこうやって文字にすることで少しでも解消できたら。


そしたらなんとなく、岡田准一も素直に受け入れられる気がする。